
日本で育った選手は、まだNFLの公式戦に出たことがありません。その扉に、いちばん近づいているのがレイダースのキッカー、松澤寛政です。
表紙:2026年のトレーニングキャンプでの松澤寛政(#38)。
ラスベガス・レイダース公式サイト(raiders.com)の記事から引用
NFLの歴史で、日本国籍の選手がレギュラーシーズンの試合に出場した例は、2026年10月時点でまだありません。アメリカ軍の基地などで日本に生まれた選手はいますが、日本で育った選手の公式戦出場はゼロです。ここでは、いまNFLの一番近くにいる松澤寛政、これまで扉を叩いてきた日本人選手たち、そして日本にルーツを持つNFL選手を紹介します。
松澤寛政|ラスベガス・レイダース|K
ファンとして、スタンドにいた
千葉県市川市出身、1999年生まれ。2018年、ひとりで日本からアメリカへ渡り、オークランドでレイダースの開幕戦(マンデーナイト、相手はラムズ)をスタンドから観戦しました。キックはYouTubeの動画を見ながら独学で身につけたといいます。
ハワイ大でオールアメリカンに
オハイオ州のホッキング・カレッジで英語を学びながらプレーし、ハワイ大へ。2025年はフィールドゴール29本中27本成功、PAT(キック)は40本すべて成功し、ハワイ大で初めてのコンセンサス・オールアメリカン(主要メディアの選ぶ全米代表)に選ばれました。
レイダースと契約、「TOKYO TOE」
NFLが海外の選手を育てる「インターナショナル・プレーヤー・パスウェイ(IPP)」の2026年クラスに日本からただひとり選ばれ、4月にドラフト外でレイダースと契約。チームのコラムでは「Tokyo Toe(東京のつま先)」と呼ばれています。
プレシーズンで、日本国籍の選手として初の得点
キッカーの座をベテランのマット・ゲイと争い、プレシーズン2戦目でキックを決めて、日本国籍の選手として初めてNFLの試合で得点しました。開幕のロースター(53人枠)には入れず、8月末にプラクティス・スクワッド(練習生枠)で再契約したと報じられています。
出典:Raiders.com(2026年8月2日)、Spectrum News(2026年4月26日)、CBS Sports(2026年9月1日)、熊本日日新聞(共同通信配信)、NFL Japan(2026年4月21日)。最新の在籍状況は、レイダースの公式発表で確認してください。
NFLの扉を叩いてきた日本人選手
- 河口正史(LB):1998年のパッカーズ、2000年のカウボーイズ、2002・2003年の49ersのキャンプに参加。NFLヨーロッパでもプレーしました。2002年に大阪ドームで行われたプレシーズンゲームに49ersの一員として出場し、日本人として初めてNFLの試合に出たとされています。
- 木下典明(WR):2007年にファルコンズと契約。2008年にはファルコンズの「インターナショナル・プラクティス・スクワッド」に日本人として初めて選ばれました。
- 李卓(RB・オービックシーガルズ):2020年にIPPの候補に日本人として初めて選ばれました。その後、2021年にカナダのCFL(モントリオール・アルエッツ)でプレーしています。
日本にルーツを持つNFLの選手たち
- ジェイデン・ダニエルズ(コマンダース・QB):本人が「曾祖母が日本人」と話しています。2024年のドラフト全体2位。日本にルーツを持つ先発QBは、1928年のアーサー・マツ以来とも紹介されました。
- タイ・オカダ(シーホークス・S):高祖父が日本からの移民。2026年2月の第60回スーパーボウルで優勝したシーホークスの一員です。
- スコット・フジタ(元LB):日系3世の父を持つ家庭に養子として迎えられ、「心は半分日本人」と語ってきました。セインツで第44回スーパーボウルに優勝しています。
- アーサー・マツ(1928年・QB):日本人の父を持ち、NFLで初めてのアジア系のQBとされる選手です。
グラウンドの外では、東京生まれの磯有理子さんが2002年から2010年までスティーラーズのアシスタント・アスレティックトレーナーを務め、NFLで初めての常勤の女性アスレティックトレーナーになりました。
日本でのNFLの試合は?
NFLは1976年に後楽園球場、1989年から2005年にかけては東京ドームなどで「アメリカンボウル」としてプレシーズンゲームを開いてきました。最後は2005年8月の東京ドーム、ファルコンズがコルツに27-21で勝った試合です。
2026年5月、NFLのオーナー会議は2027年から年間最大10試合の海外開催を承認し、日本も候補として名前が挙がりました。7月にはロジャー・グッデル・コミッショナーが「東京でやったのはプレシーズンゲーム。今度は公式戦をやりたい」と話しています。ただし、日本での公式戦の開催は、まだ決まっていません(2026年10月13日時点)。日本でのマーケティング権を持つのはロサンゼルス・ラムズです。
チームのことをもっと知りたい人は、TEAM FILE 15 レイダースへ。
出典:Raiders.com(2026年8月2日)、BBM Sports(2026年9月2日)、NFL Japan(2026年4月21日)、CBS Sports(2026年9月1日)、Sporting News(2025年9月9日)、NBC Sports(2026年5月19日)、Sportico(2026年7月)、Wikipedia(各選手、American Bowl)。情報は2026年10月13日時点です。写真の著作権は撮影者・球団に帰属します。掲載に問題がある場合は、お問い合わせからお知らせください。